イタコの口寄せって何?

イタコの口寄せとは

恐山のイタコ

「本物のイタコによる口寄せ」や「霊媒術」といった言葉を聞いたことはありませんか?霊媒、というと霊視から更に一歩踏み込んで、ホラーのような響きに感じる人もいるかもしれません。イタコという言葉に、なにか不気味さを覚える人もいるでしょう。しかし、イタコは元々巫女のような立ち位置の女性たちを指す言葉でした。一説ではアイヌ語の「itak」、「神はこうおっしゃった」という言葉が語源になっているとも言われています。イタコの使う口寄せの力は、神託などに使われる神聖なものなのです。

口寄せは日本古来から続く占いの一種です。霊魂を自らの体に憑依させ、冥界からのメッセージを伝えたり、国家に関わる重要なお告げをすることは古くから行われてきました。以前は日本各地にこうした口寄せや霊媒術をなりわいとする女性たちが存在しました。大弓やアガタなどがその代表です。彼女たちは全国を渡り歩いて一般の人たちからの相談を受けていましたが、今では恐山のイタコを除いて、口寄せを行ってくれる女性たちは姿を消してしまいました。電話占いを利用するか、実際に恐山に行く以外に彼女たちに口寄せを行ってもらう手段はなくなってしまったのです。

更に、恐山のイタコといえども年中無休で口寄せを行っているわけではありません。せっかく高い旅費を出して相談に行っても、運悪く相談に乗って貰えなかった……ということさえあります。そのため、現在本物のイタコに口寄せを行って貰う最も現実的な手段は電話占いだけになりつつあるのです。

どんな風に呼ぶの?

神口による予言

実際に恐山で口寄せを行う場合、呼び出したい霊魂に関わりのある品などを用意する必要があります。が、電話占いの場合はそれすら必要ありません。相談者からの電話を受けた瞬間、イタコには既に相談内容や、相談者の悩みを解決するために呼び出さなければならない霊魂が分かっているからです。口寄せに当たっていくつかの必要事項を確認したのち、実際に降霊を行います。電話口で実際に呼び出すので、詳しい話を聞くことも可能です。

実は、口寄せの際に術者に憑依するのは何も死んだ人の霊ばかりではありません。生霊、即ち生きている人間の霊や、神仏だったりすることもあります。一般に、神仏を憑依させる時には神口、生きている者や葬儀が終わっていない死者の言葉を伝える時は生口、葬儀が終わった死者の場合は死口と呼ばれています。実際に電話占いによる相談を行った場合、イタコは相談中に神口によって予言をしたり、死口で先祖の霊を降ろして現在の不幸の原因を突き止めたりしてくれます。また生口を用いて気になる相手の霊を呼び出し、相談者への想いを確かめることも可能です。相談者の悩みや目的に合わせて様々な霊を降ろし、今必要なアドバイスを出してくれるのです。

祖母の霊の力で……

親しい人の霊は、死後あなたを見守ってくれていることが多くあります。Cさんの場合、それは小さな頃に亡くなった祖母の霊でした。

仕事も恋愛もうまくいかず、悩みに悩み抜いてイタコによる電話相談を利用したCさん。そこで大好きだった祖母が、死後もずっと自分の側にいてくれたことを知ります。仕事に嫌気がさしていること、恋人に別れを切り出されていることなど、Cさんの悩みは全て見透かされていました。「今は辛いかも知れないけれど大丈夫、いつか絶対に全てが良くなるから。自分の力を信じて頑張りなさい」イタコの口を通じて伝えられたその言葉は、祖母からの優しい励ましでした。それ以来、Cさんは常に暖かい眼差しに守られていることを実感するようになったと言います。彼女自身の努力も実り、数ヶ月後には悩みのほとんどが解消されました。「祖母が見守ってくれているって分かってから、1人で抱え込んで気負わずにいられるようになりました」とCさんは言います。

イタコによる電話相談は、単なる占いに留まらず、今まで知らなかったことを気付かせてくれる大きなきっかけとなるのです。

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